全日本写真連盟

第80回朝日写真展

朝日写真展」は全日本写真連盟創立時の1926年(大正15年)に開催された「日本写真大サロン」に起源し、その後名称を変えてから80回目を迎える最も歴史ある写真展です。

 第80回朝日写真展は、審査委員長に全日写連副会長の写真家・榎並悦子さんを迎え、全国から248人、1,060点の作品が寄せられました。  
審査の結果、朝日大賞には井上凱彦さん(奈良県生駒市)の「確認」が選ばれました。

■審査委員長 榎並 悦子  (写真家・全日本写真連盟副会長)
■審  査  員 山中 健次  (全日本写真連盟総本部理事兼関西本部委員長)
          澤野 二朗  (全日本写真連盟総本部理事)
          岡本 佐知子(全日本写真連盟関西本部委員)

◇展 示◇
日 時 : 4月5日(金) ~ 4月11日(木)
      午前10時から午後7時、最終日は午後2時まで

会 場 : 富士フイルムフォトサロン大阪 (大阪市中央区本町) 
       入場無料

【総 評】 審査委員長 榎並悦子
 今年は第80回の記念すべき回でした。長い歴史の中で、応募作品にもその時代々々が反映されてきたと思います。新型コロナ感染症の影響下では、中止や縮小となった祭や行事もたくさんありましたが、昨年5月に5類移行後はイベント等の撮影機会も増えたと思います。また、日常生活でも旅行や食事に出かける場面も増えました。気持ちが軽くなったと感じた人も多いでしょう。そんな環境の変化もあってか、脱マスクの表情にフォーカスした、笑顔が弾ける作品が多かったように思います。応募作品からもコロナ前の日常が戻りつつあることを強く感じた審査でした。
                                                      (敬称略)

 朝日大賞「確認」 井上 凱彦(奈良県)

講評 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
 ヘアセットを終えた女性の表情を、鏡を利用して多面的にとらえたところに作者の力量を感じました。鏡やガラスは正面からとらえると自分自身が映り込んでしまいますが、角度をつけることでそれを上手く回避しています。鏡の中で嬉しそうに微笑む着物姿の女性、そして美容師さん。写真にとらえた複数の顔は、同一人物でも様々な顔を見せることや、内面という別の顔があることを想像させる奥の深い作品だと思います。また、ハレの日を思わせるこの場の浮き立つ気分が伝わってくるところもいいですね。

 朝日特別賞「雨上がり」 秋山 修一(徳島県)

講評 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
 学校帰りでしょうか、おちょこのように裏返った傘を見て大笑いする少年たちは本当に楽しそうですね。ようやく友だちとも密に過ごせるようになったことを象徴するような一枚です。顔にも雨粒がついていて、突風が吹いたことを感じさせます。臨場感と共に、誰もが記憶の片隅にあるような追体験を誘うところにも魅力を感じました。

 朝日特別賞「余生を楽しむ」 中塚 正春(香川県)

講評 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
 ゲームに興じる高齢者の様子を生き生きととらえていて、見ているこちらも元気が漲ってくるようです。男性が投じたボールの行方を見守っているご婦人たちの視線に愛情を感じました。この場を盛り上げる男性の活躍ぶりがうかがえますね。こんなに間近で撮影していても誰もカメラを意識しておらず、作者がこの場によく溶け込んでいることが伝わってきます。タイトルに込められた視点そのものの活写が素晴らしいです。

 朝日賞「ハイタッチ」 乙部 エミ(埼玉県)

講評 関西本部委員 岡本佐知子
 愛犬との散歩中の微笑ましい一コマが映し出されています。ここまで頑張って付き合ってくれた少女への愛犬からの気遣いが感じられ、逆光で透ける可愛い手や髪の輝きが朝の冷気を吹き飛ばし温もりに代わります。

 朝日賞「拡張工事」 矢野 直孝(神奈川県)

講評 総本部理事 澤野二朗
 変わりゆく渋谷駅の姿を捉えた視点、構成が良い。多くの人が働くホームの奥には電車が着き行きかう人々。工事の状況が一目瞭然いい記録です。

 朝日賞「夢を乗せて、、、」 榎原 等(神奈川県)

講評 総本部理事 澤野二朗
 真っ青の空へ真っ白な飛行機が高々と夢を乗せ飛んでいく。二人が仲良く競い合い楽しむ姿。ベストタイミングで美しくまとめました。

 朝日賞「オレの骨」 今川 美佐子(大阪府)

講評 総本部理事兼関西本部委員長 山中健次
 少年が大きな絵を持って、林の中をスケートボードで走り去っていく様子を捉えています。学校の宿題で描いた絵なのか、それにしても大きな絵で、なぜこんな場所で疾走しているのか、不思議感があります。

 朝日賞「黄昏飛行」 筒井 利枝子(大阪府)

講評 総本部理事兼関西本部委員長 山中健次
 もうすぐ落日。手前にススキを入れて着陸しようとしていると思われる低空の飛行機を撮影しています。現場では飛行機の騒音がすると思いますが、なぜか作品からは静かに暮れる晩秋の感じが伝わってきます。

 朝日賞「危険な昼寝」 森山 登志子(大阪府)

講評 関西本部委員 岡本佐知子
 寺院の前に悠然と寝そべる巨大こけし。その前には人が行き交い、車がスピードを上げて走り去る日常の世界が広がりお昼寝を妨げているようです。現世と浄土を想像させられる作品です

 朝日賞「蒼暁」 中山 茂(奈良県)

講評 関西本部委員 岡本佐知子
 夜明け前のうっすらと色づいた空を映した池面や遠くの山合から沸き立つ靄を長時間露光で幽玄の世界を表現し、その中に点景として捉えた薬師寺双塔のシルエットを浮び上がらせた構成が素晴らしく、凛とした早朝の臨場感が伝わります。

 朝日賞「居心地の良い場所」 中道 ちあき(和歌山県)

講評 総本部理事兼関西本部委員長 山中健次
 縁側に座り、新聞を読むのが日課なのでしょう。服装から冬だと思いますが、この日は太陽が降り注ぎ暖かそうです。背後に奇妙な馬の作り物がありますが、男性の作ったものなのでしょうか。長閑です。

 朝日賞「西日」 森﨑 武利(和歌山県)

講評 総本部理事 澤野二朗
 住宅の壁面の形と西日に投影された町の情景が一つの絵となり、陰りゆく気ぜわしさと坂道を行く人の影に物語を感じます。

 朝日賞「パーソナル スペース」 白石 葉子(岡山県)

講評 総本部理事兼関西本部委員長 山中健次
 喫茶店の内と外の光景を撮影しているようです。それぞれがドリンクを机の上に置き、パソコンやスマホを操作しています。現代の若者の行動が顕著に写し出されています。

 入選

「そして秋」 渡辺 進(福島県)

「お化粧」 中村 邦夫(福島県)

「ファイト!」 小杉 美千代(神奈川県)

「夢の世界」 髙木 美栄子(福井県)

「祭りのひととき」 外勢 肇(愛知県)

「団地(ダンチ)」 犬塚 勝正(愛知県)

「楽しいサッカー」 中村 昭夫(三重県)

「再会」 國本 三郎(三重県)

「修祓式」 羽根 和子(三重県)

「はい、ポーズ」 梁井 英雄(三重県)

「太公望の朝」 小宮 千原(三重県)

「母子共に」 里見 金三(滋賀県)

「影絵」 斉藤 貴(大阪府)

「盆燈籠」 花村 繁(大阪府)

「大物を釣る」 南野 憲二(大阪府)

「喜色満面」 横山 周作(大阪府)

「ご愛嬌」 宮部 荘太郎(大阪府)

「好日」 山本 桂子(大阪府)

「撹乱」 木村 薫(大阪府)

「昔とった杵柄」 西山 志げる(大阪府)

「走る稲妻」 長原 恭子(兵庫県)

「立ち話し」 尾﨑 壽(兵庫県)

「朝ぼらけ」 藤井 英明(兵庫県)

「願い」 紙田 タカシ(兵庫県)

「異邦人」 久井 義弘(奈良県)

「無中」 榎本 隆志(和歌山県)

「覗き込む」 磯 秀樹(和歌山県)

「休息」 藤吉 修忠(和歌山県)

「ビル間の斜光」 近藤 謙介(岡山県)

「光の記憶」 松本 美枝子(岡山県)

「ひと休み」 田中 敏夫(広島県)

「近未来空間」 田部 昌子(広島県)

「化粧」 窪田 保孝(愛媛県)

「相撲練り」 河田 守(愛媛県)

「御祓い」 錦織 宏(備後地方)

「薄化粧」 和田 知久(備後地方)

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2022/08/01
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