審査 関東本部委員長 江連康晴
総評
今回も皆さんから75名304点の応募作品が寄せられました。ありがとうございました。力作ぞろいで審査をするにあたって苦労をしました。その中でもコロナ明けだからでしょうか、各地でイベント行事が復活して、楽しく祭り行事を味わっている様子が伺えました。トップに選びましたのも「力自慢」といったイベントの一コマを撮られた作品です。決定的瞬間の強いスナップ写真でした。他にもいろいろと自然・風景・神事等、生活感溢れる作品が多岐にわたって網羅されていました。
写真の魅力は、その被写体に接した時の感動を伝えるために、どう表現をするのかを工夫することだと思います。其れにはツールであるカメラを駆使することもありますし、視点やレンズワークにも結果として現れます。何よりも被写体をよく観察して魅力を引き出すことが重要でしょう。十人十色で感動する部分も違いますが、作品の作り方で感動の伝わり方も変わります。ぜひ写真集や絵画集などを見て目を肥やして下さい。
最近ではユーチューブでいろいろと写真に関する情報や知識を得ることができます。「全日写連アカデミー」も写真表現についての議論の場を録画したものを配信しています。ぜひ視聴していただき自分の写真力の幅を広げていただければ幸いです。
2026年には、全日写連創立100周年イベントとしてのコンテストなど企画しています。皆さんの力作も是非、今から作っておいていただき応募できるよう準備のほどお願い申し上げます。そして、皆さんとともに100周年を祝いましょう。
心配そうに見守る見物人たち、その瞬間「え~~い‼」と気合をこめて俵を持ち上げ、「うわ~」、「持ち上げたよ!」といわんばかりのどよめきと歓声が沸き起こる決定的瞬間をとらえています。行事審判と女の子の取り合わせも面白いし、よく見ると女の子の左足が俵を持ち上げようと俵の下に入れて必死になっているのもその場の臨場感が伝わってきます。
棚田といえば山間に広がる棚田を想像しますが、この棚田は幾何学模様のようにきれいに整地されています。一軒の農家を扇子のかなめのように見立ていて、その扇子を広げたような形となっていて、田植えが終わった水面に映りこんだ青空がよいアクセントとなり、扇状の棚田の美しさを醸し出しています。
最初古木が目に入り、その先のあでやかな紅葉へと視線誘導されます。手前に大きく古木を取り込んでいて、その姿が何か得体のしれない生き物が水を求めて紅葉に染まる湖に現れたような感じに見えます。艶やかな紅葉と古木の対比が面白いと感じました。