第1部・課題作「新潟県の自然」
第2部・自由作 一般の部
第3部・自由作 高校生以下の部
審査 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
【総評】
今年の審査を通じて感じたことは、これまでの経験を生かされた力のある作品が多かったことです。特に新潟地域限定の部門は、風土をよくとらえた作品が豊富で、場所、時期を含め、地元ならではの強みを生かした作品が素晴らしく目を見張りました。高校生部門は内容も点数も充実しており、このコンテストに若い風を吹き込んでいて、今後が大いに期待されます。
まず、このアングルを見つけたことが最大の発見ですね。穴から見上げた青空と、大木の緑が長かった春を一気に引き寄せているように感じました。溶けた雪が雫となって落下する、その一瞬をとらえたタイミングも素晴らしいです。作者の創意工夫が感じられる傑作です。
これほどの蝶々が吸水に集まってくる場所が新潟にあることにまず驚きました。遠目にはまるで色づいたイチョウの葉のようにも見えます。画面の対角線上にチョウをとらえていることや、チョウが立体的に見えるカメラアングルも的確でした。貴重な生態をとらえた作品です。
地域のご婦人たちが百万遍に講じる姿をとらえた作品ですが、魚眼とデフォルメにより、ちょっとユーモラスに見えるところが楽しいですね。遠近感も誇張されていて印象に残ります。マスク姿にコロナ禍が見えますが、こういった行事が途絶えることなく続けられていることに安堵しました。
花火の撮影は、スローシャッター、高速シャッター、多重などで表現が異なりますが、この作品は飛び散る火花を星に見立てたこところに作者のセンスを感じました。画面いっぱいにとらえた火花のきらめきが実に美しいです。また職人さんの表情もよく伝わってきて、裏方さんの存在にスポットを当てたようなところにも好感が持てました。
夜空に大きく開いた花火。手前の屋上にはそれを見上げる人物が見えます。このシルエットがあることで、花火の大きさや、高さがよく伝わってきます。単に花火を撮影した作品とは違い、ドドーンという音まで聞こえてきそうな臨場感に満ちています。花火自体もバランスよく配置され、見応えのある作品となりました。