全日本写真連盟

第33回 「日本の自然」写真コンテスト結果発表(一般部門)

「いつまでも守り続けたい日本の自然」をテーマに今年で33回を迎えた「日本の自然」写真コンテスト(朝日新聞社・全日本写真連盟・森林文化協会主催、ソニーマーケティング株式会社協賛)。プリント作品を対象とした「一般部門」には、5566点の応募があり、入賞・入選作85点が選ばれた。今回から、30歳以下を対象にウェブで作品を募る「スペシャル部門」が新設され、810点の中から、最高賞「ソニーネクストフォトグラファー賞」など23点が決まった。

【主催】朝日新聞社 全日本写真連盟 森林文化協会
【協賛】ソニーマーケティング株式会社

【テーマ】いつまでも守り続けたい「日本の自然」。風景や動植物、人間の営みなどをストレートに表現した作品を募集します。

【審査員】
●一般部門
今森光彦 中村征夫 前川貴行、水越 武、吉野 信、米 美知子(写真家)
山之上玲子(朝日新聞東京本社写真部長)
小林正明(同大阪本社写真部長)
●ソニー4K賞審査
米 美知子
大野明(朝日新聞東京本社映像報道部長)
ソニーマーケティング株式会社

※ソニー4K賞審査について
最終審査に残った作品127点から上位受賞作品8点(最優秀賞、審査委員賞、朝日新聞社賞)とフィルムで撮影した作品を除く、113点を審査対象としました。作者に作品のJPEGデータを送っていただき、65インチの4K BRAVIAを3台用意。3者(米、大野、ソニーマーケティング)がそれぞれ全作品を再生して審査を行いました。色の美しさや色の数、繊細な光やコントラストの表現など、プリント写真にはない、4Kテレビならではの写真の美しさを表現した作品を選定しました。

◆総評
【一般部門】
 目の前で起こっている事象や気象の変化を上手に捉えている作品が多かった。動物写真は相変わらず多数の応募があるが、望遠レンズに頼らず、ワイドレンズで生態を力強く引き出そうとした作品が目立った。そんなスケール感を際立たせた作品を撮ってほしい。
 一方、有名撮影地に偏ることや、類型的な絵づくりは例年通り。過度な画像調整、トリミングなど「自然」ならぬ「不自然」な写真が毎年増えている。デジタルの利点を誤った方向に用いることには注意したい。作品の勝負のしどころを間違わないでほしい。
 「日本の自然」写真コンテストは、それぞれの都道府県に住む人が、自分のふるさとの自然を撮影しているから面白い。住んでいる人の視点で行ったフィールドワークで撮られた写真であるからこそ感動できる。そういう作品を期待したい。


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 最優秀賞「山の怒り」 寺本 勲(熊本県)

阿蘇の噴火をいい光線状態のときに撮影した堂々とした写真だ。シャッタースピード、露出が作者の意図に適正で、噴石の軌跡がうまく流れている。真ん中にクローズアップしがちな噴火をやや左によせ、引いて撮っていることでスケール感が出ている。

 今森光彦賞「命誕生」 加藤 利光(静岡県)

モリアオガエルだろうか、正面からアップで撮らず、水面に映り込んでいる青い茂みや水紋に意識して撮っているのがいい。カエルの表情も面白い。空気感が素晴らしい写真だ。

 中村征夫賞「トウアカファミリー」 谷口 常雄(神奈川県)

 白い砂地のイソギンチャクをねぐらにしているトウアカクマノミの家族。下の赤く見えるのは卵で、撮影者がぐっと寄ってきたので母クマノミが威嚇している。父親が右、子どもが奥に。親子3匹そろってこちらを向いている写真はなかなか撮れない。

 前川貴行賞「真夏日」 宮田 典彦(愛知県)

奈良公園の池に入っている鹿だが、水面にまったく乱れがなく、地面に埋まっているような不思議な写真だ。「入って失敗したな」というような鹿の表情がユーモラス。

 水越武賞「自然と生きる」 青柳 征三(千葉県)

日本列島を取り囲む豊穣な海の恵みを目の当たりにするような作品だ。写真の構成力もあり、シャッターチャンスもレンズの選択も的確だ。モノクロームで撮影することでより力強い作品となっている。

 吉野信賞「水あそび」 牛場 和美(三重県)

 この写真はフィルムカメラでは撮れないだろう。この飛び散る水滴が見事に点として止まっている。また子猿の表情がなんともいえない。そういうアクションとドラマが強烈な印象として残る。

 米美知子賞「弁天桜」 笠原 明(埼玉県)

これぞ日本の春という格調の高い妖艶な満開のシダレザクラを捉えている。雨上がりだろうか、バックの山から霧が浮き上がってきて、どっしりとした桜の静けさが一枚の写真に見事に収まっている。

 朝日新聞社賞「淡雪」 笹尾 敏子(神奈川県)

構図がいい。ミツマタの花に杉木立。雪が横から吹きつけたので、幹に黒と白の縦じまができて、コントラストがついて写真が生きてきた。奥行き感もある。わびさびを感じさせる落ち着きがある写真になった。

 ソニー4K賞「夜明の入浜」 藤岡 博司(広島県)

撮影地は広島。夜明けの光を受けて紅に染まるシカと樹木。透過光がいい。4K映えする色と光で、プリントにはないリアリティーがある。一期一会をとらえ、写真的にも優れている。(この作品は広島県一賞も受賞)

 優秀賞

「やさしくしてね」 嵯峨 政行(北海道)

「smiling eyes」 松倉 毅(北海道)

「世界唯一の樹氷」 野川 康夫(岩手県)

「残柿を食べる」 湯田 今日男(宮城県)

「里山で働く」 村上 昭浩(宮城県)

「見守る」 落合 克弘(東京都)

「吸水(ヒメアマツバメ)」 関 紀昭(東京都)

「まいったー!」 大友 洋子(神奈川県)

「北風模様」 和久 秀輝(京都府)

「生命力」 中島 巌(奈良県)

「水面にたたずむ」 吉岡 直樹(島根県)

「廃墟に生きる」 福島 克也(福岡県)

「朝光」 加藤 克己(福岡県)

 入選

 北海道一賞

 青森県一賞

 宮城県一賞

 秋田県一賞

 山形県一賞

 福島県一賞

 茨城県一賞

 群馬県一賞

 千葉県一賞

 東京都一賞

 神奈川県一賞

 新潟県一賞

 富山県一賞

 石川県一賞

 福井県一賞

 長野県一賞

 静岡県一賞

 愛知県一賞

 三重県一賞

 滋賀県一賞

 大阪府一賞

 兵庫県一賞

 和歌山県一賞

 鳥取県一賞

 島根県一賞

 山口県一賞

 香川県一賞

 高知県一賞

 福岡県一賞

 熊本県一賞

 大分県一賞

 宮崎県一賞

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2022/08/01
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