2024年11月13日(水) 09:30 ~ 2024年11月30日(土) 17:00
青森市安田近野185青森県立美術館
山口規子写真展 「KIKORI 木は長い夢を見る」
青森県立美術館コミュニティギャラリー [入場無料]
2024/11/13(水)~11/30(土)
9:30~17:00(入館は16:30まで 11/25は休み)
☎017-783-3000
【ギャラリートーク開催】参加費無料・予約不要
11月17日(日)14:00~15:00
11月24日(日)14:00~15:00
「山が泣いている」。そんな風に感じたのは、いつだったろうか。若いころから山登りが好きでたくさんの山に通ってきたけれど、手入れのされていない杉や檜の山を見るたび、「山が泣いている」と感じるようになった。
戦後、家や家具の建材利用のため、はげ山になった山林に全国一斉に木が植えられた。その木々たちが成長をとげて、約80年。山は今、一番豊かな時を迎えている。
しかし、海外からの安価な木材の輸入自由化で、国産材の価格は暴落。加えて農山村の過疎化によって山の担い手が不足したことなどから、木は売れず、山は荒れはじめた。山が荒れると土砂崩れなどの災害が増える。森から海へと流れ込むミネラルなどの栄養素が届かず、海も荒れていく。
そんなことを考えていたころに出会ったのが、青森県新郷村に住む石ヶ守勲(いしがもりいさお)さんだった。当時95歳。自らの山を持ち、毎日山へ入り、木々の手入れをしている林業家。山を愛し、山を大切にしている、本物のキコリだった。
出会った瞬間、「この人を撮りたい」と感じた私は、すぐ撮影を申し込み、新郷村に通うようになった。山中を歩く石ヶ守さんは95歳と思えないほど健脚で、後ろから必死でついてくる私を見ては、いつも笑っていた。木のことはもちろん、土のこと、動物のこと、天気のこと、なんでも知っている山の博士のような人だった。
しかし、2020年にはコロナ禍で撮影を中断せざるを得ない状況に陥り、再び青森に通うことができるようになったのは2022年。その翌年の2023年5月に、石ヶ守さんは亡くなった。99歳だった。無念。
この写真展は、石ヶ守さんが教えてくれた山への愛情と林業の知恵をもとに、次世代のキコリたちが力を合わせて山を守る青森県新郷村の「KIKORI」の物語である。キコリが蒔いた種が苗木に育ち、苗木が木に、木が山になり、山で育った木が家になり、家が人に安らぎを与え広がっていくように、この物語が語り継がれていくことを願う。
2024
11/13(水)
09:30
2024
11/30(土)
17:00