全日本写真連盟

デジタルカメラの「楽しみ表現」 自分流 ⑮ インターバル撮影と合成その1

 

【関東本部委員・佐藤親正】
 インターバル撮影は、フィルムカメラでも使われた機能ですが、撮影した画像を合成する事はできませんでした。デジタルカメラを使う事により、簡単に合成できるようになり、表現の幅が大きく拡がったと思っております。インターバルとは、間隔の意味です。間隔を開けて撮影する事をインターバル撮影と言います。通常は、カメラや機材を使い一定の間隔を空けて撮る事を指していますが、ランダムに間隔を変えて撮影するとか、被写体を観察し表現したいタイミングで数枚撮影するとか、高速連続撮影も撮影結果としてはインターバル撮影の同類と考えております。これから三脚を使いカメラを動かさないで色々な撮影をして、合成する方法を説明してまいります。合成する方法は、主に「比較の明」「比較の暗」「切り抜き(マスク使用も含む)」の3方法だと考えております。

「比較の明」を使い手動で合成した作品
「比較の明」の合成とは、明るい処を優先して合成する事です。夜空の星をインターバル撮影し、合成して星の軌跡を表現するのが一般的な使用方法ですが、「比較の明」の合成をもっと身近な撮影に生かした方法を説明してまいります。合成方法は次号で詳しく説明します。

写真-1 風車

【写真-1 風車】風車の羽が回る動きに合わせて撮った4枚の写真(写真-インターバル)を「比較の明」で合成して作成。撮影プロセス①三脚にカメラを取り付け、画角を決めました(ブレを防止する為に、しっかりした三脚とシャッターにはレリーズの使用をお勧めします)②背景の空を出来るだけブルーにしたいので、PLフィルター(使い方は2013年7月号参照)を取り付ける③PLフィルターを調整し、絞り優先オートでレンズの絞りを最小絞りのF22に設定、シャッタースピードを確認すると1/30秒でした。カメラと被写体との距離を考えると1/30秒では羽が止まって写ってしまいます④風車の羽に動きを表現する為にND8フィルター(使い方は2013年5月号参照)をPLフィルターが回転しないように注意して、PLフィルターに装着⑤PLフィルターとND8フィルターを使用して絞り優先オートでシャッタースピードを確認したら1/4秒になりましたので、羽がぶれて動きを表現できます⑥目測ですが、羽の動きに合わせて4回シャッターを切りました⑦後にフォトショプエレメンツ10で合成した作品です。
〈データ〉ニコンD300 ニッコール70-200 F2.8 ISO200 絞り優先オート F22 1/4秒 ホワイトバランス オート PLフィルター・ND8使用 (4回の撮影共通) 2011.1.22. 神栖市

写真-2 赤い風車

【写真-2 赤い風車】羽の先が赤い風車が朝日を受けて美しく並んでいました。風車は大きくダイナミックに回っています。この迫力を表現するには、風車の羽を円周にたくさん並べてみようと考えました。そこで、手動インターバル撮影をして、後に合成して表現しようと考えました。
撮影プロセス①画角を決めました。撮影位置の下が砂浜なので、三脚をしっかりと砂に押して設置②順光の朝日が当たっている条件です、PLフィルターを使い背景の青い空をはっきりと暗めになる様にPLフィルターを調整する(羽よりも空を暗く落とす為の、この作業が合成する時に重要になってきます)③羽の動きを表現する為に、PLフィルターの調整リングを動かさないように、ND8フィルターを取り付ける④遠くの風車まで表現したいと思い、被写界深度が深くなるよう絞り優先オートでレンズの絞りを最小絞りのF22に設定⑤絞りF22の設定でシャッタースピードを確認すると、1/5秒でした。1/5秒は私の意図的表現にぴったりです⑥一枚撮りのモードで続けて10回以上シャッターを切りました。⑦撮った写真を後にフォトショプエレメンツ10を使い「比較の明」で合成して仕上げた作品です。
〈データ〉ニコンD700 ニッコール24-70 F2.8 ISO200 絞り優先オート F22 1/5秒 ホワイトバランス オート(全撮影共通)PLフィルター・ND8使用(全写真共通) 2011.1.22. 神栖市

写真-3 東尋坊

【写真-3 東尋坊】冬の日本海で、磯に砕ける波を撮りたいと思い福井県の東尋坊に出かけました。この日は、強風で波も荒く撮影条件としてはベストでした。しかし、撮影してみると大きな波が飛び散った時には、岩の上には波の泡が無く、ただ黒い岩です。岩の上に波が有る時は飛び散る波が有りません。そこで、色々な波の状態を撮って、後に「比較の明」で合成して表現しようと考えました。
撮影プロセス①風が強いので、しっかりした三脚を使い、できるだけコンパクトなレンズを選択して画角を決めました②海と岩の反射を抑える為にPLフィルターを使い調整しました③被写界深度を深くするのとシャッタースピードをスローに調整する為に最小絞りのF22を選択しました④ISO200からISO125に調整して、絞り優先オートでのシャッタースピードが、1/60秒で適正と決めました⑤岩の右に大きな波が飛び散った時に1回目のシャッターを切りました⑥岩の真ん中に大きな波が飛び散った時に2回目のシャッターを切りました⑦岩の左に大きな波が飛び散った時に3回目のシャッターを切りました⑧岩の上に波の泡が流れる時に4回目のシャッターを切りました⑧4回撮った写真を後にフォトショプエレメンツ10を使い「比較の明」で合成して仕上げた作品です。
〈データ〉ニコンD700 ニッコール180 F2.8 ISO125 絞り優先オート F22 1/60秒 ホワイトバランス オート PLフィルター使用(4回の撮影共通) 2009.12.26. 福井県


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