全日本写真連盟

第16回 「北関東写真サロン」入賞者発表

審査日  平成28年4月22日(月)
会 場  朝日新聞東京本社
審査員  熊切 圭介(写真家・全日本写真連盟総本部理事)

審査総評
写真家・全日本写真連盟総本部理事  熊 切 圭 介
 写真というメディアは、森羅万象をモチーフにするので、その内容は実に変化に富んでいます。それでも時代や社会の動きを反映して、作品にも微妙なかたよりがあります。最近、比較的に多いのが宇宙をテーマにした作品で、星空を写した作品です。
今迄はどちらかといえば長時間露出による星の流れ、星の軌跡を表現した作品が多かったのですが、最近はデジタル映像による作品が多く、デジタルの感度をアップして、無数の星が星空に貼り付いたような写真とか、夜空一杯に流星が写っている作品などが多いようです。また日本列島を取り巻く自然環境が豊かなためか、動植物をモチーフにした作品も数多く目にするのですが、最近はやや減少傾向にあるようです。それと直接関係があるかどうか分かりませんが、気象庁は1953年から季節の移り変わりを動植物の変化でみる「生物季節観測」を続けているようですが、対象としていた動植物の数と種類が、最近著しく減っているようです。
その事実を反映して、写真家が撮影する動植物の種類が少なくなり、そのため動植物を撮影した作品が少なくなっているのではないでしょうか。そんなことを心配しながら応募作品を拝見しましたが、心配は無用でした。最優秀作品を始め、優秀作品、特選作品とも、深い表現力と優れた感性による作品、想像力を強く刺激する作品など、見応えのある作品が多く、作品全体の水準の高さを感じました。

写真の力でふるさとの魅力を伝えよう
全日本写真連盟 関東本部委員長  谷田川 勝 喜
 何の前触れもなく襲ってきた熊本地震、想定外の雨量により北関東を襲った洪水被害、改めて自然の恐ろしさを知らされました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
 今回の第16回「北関東写真サロン」には1都9県から309人、1,959点の応募がありました。昨年に続き300人を超える応募があったということは、このコンテストが写真愛好家の方々に評価され定着しつつあることがうかがわれうれしく思います。運営に携わってこられた北関東ブロック役員の方々の努力、そして審査員はじめ関係機関のご理解ご支援の賜であると厚く感謝申し上げます。
 最近の「北関東写真サロン」は身近にある豊かな自然の営みや見過ごされてしまうような地域の伝統行事など何気ない情景を、独自の感性で捉えて表現された作品が数多く見受けられました。今回は、県別地名度ランキング最下位を競い合う北関東(茨城・群馬・栃木)内で撮影されたとは思えない、バラエティーに富んだ魅力的な作品がたくさん寄せられました。これらの入賞作品は今の北関東の貴重な記録写真として後世に伝えられることでしょう。
 全日本写真連盟は、今年12月に創立90周年を迎えます。記念行事の一つとして「わが街・ふるさと」をテーマに写真コンテストが企画されています。自分なりにとらえたふるさとの作品で是非とも記念事業を成功させましょう。たくさんの応募をお待ちしております。

 最優秀賞「祭りに行こう」  長谷川静江( 栃木県那須烏山市)

日本のお祭りは実に多種多様で、世界でも類を見ないほどです。この作品には直接祭りの賑やかさ華やかさは表現されていませんが、日本の祭りが持つ密やかな情感や情緒が、窓ガラスに映った人影や提灯から伝わってきます。

 優秀賞(朝日新聞社賞)「またきてね」  大橋 三千代( 栃木県日光市)

ローカル線の駅舎内のやや暗い位置から、この小さなドラマを捉えたカメラアングルが見事です。遊びに来た友達が帰るところなのでしょうか。手を小さく振って別れの挨拶をしている女の子の姿が、なんとも可愛いらしいですね。走り出した電車をややブラして撮影した技法が鮮やかです。

 優秀賞(全日本写真連盟賞)「泣いたらアカン」  佐藤 邦夫( 茨城県那珂郡東海村)

子供ではなくとも、目の前に突然奇怪な面が現れたら、泣くか叫ぶかしかないでしょう。この光景を捉えたタイミングと、カメラアングルが絶妙です。やや高いアングルから撮影しているので、実際以上に獅子の面が大きく見え、子供が小さく見えます。

 優秀賞(アサヒカメラ賞)「 夜明けの海」  米川 道義( 茨城県東茨城郡茨城町)

ひと口ではなかなか表現し難い不思議なイメージの作品です。夜明けの海で撮影したようですね。実にファンタスチックで、イマジネーションを強く刺激する作品です。長時間露光により船の細長い形、滲んだような赤い光、波の情景など、映像としての魅力があります。

 特選

「 白昼のドリーム」  川﨑 皞( 茨城県水戸市)
この作品を面白くしているのは、巨大なドームの屋根の上で遊ぶ子供達の姿をシルエットで表現していることです。それ以外の余分なものを画面に入れず、シルエットが作り出す人間の形の変化を、屋根の桟をアクセントにして構成しているのがよかったと思います。

「 戦い」  猪瀬 勝男( 茨城県守谷市)
白鳥の作品というと、水面に浮かぶ優美な姿を美しい形で捉えた作品が多いのですが、この作品はちょっと違います。湖面で激しく戦う数羽の白鳥の姿を、光の角度をよく計算し水の飛沫を巧みに利用して、激しさの中に美しさを感じる作品にしています。

「 五月」  澤崎 房子( 茨城県龍ケ崎市)
無数ともいえる数多くの鯉のぼりが飾られている山間部の光景が、見事なカメラワークで捉えられています。なによりもスケール感の表現が見事で、この場の臨場感が迫力をともなって描かれています。五月晴れの空が美しいですね。

「 夏の宵」  飯田 享以( 栃木県さくら市)
 撮影地点からかなり離れた会場では、花火が盛大に打ち上げられています。その情景を水面に映る花火を入れこんで撮影することで、情感と会場周辺の雰囲気を巧みに表現しています。水面に逆さまに映った花火を中心にした画面構成が巧みです。

「 病葉」  神保 久子( 千葉県柏市)
何の葉っぱか分かりませんが、葉脈を残していも虫に徹底的に食べられても姿が、形としての面白さを造り出しています。造形的な面白さを、黒バックで撮影することで強調した撮影技術が見事です。葉っぱの先端の水滴に生命を感じます。

 準特選

「 鵜の島」  角田 孝( 茨城県日立市)

「 ポチの目線」  星野 由紀子( 茨城県筑西市)

「 得点」  中山 元春( 茨城県下妻市)

「 禊ぎの一駒」  内野 恒貞( 茨城県つくば市)

「 秋天が流れる」  岡田 康一( 茨城県つくばみらい市)

「 あんた誰」  黒崎 守輝( 群馬県高崎市)

「 窓辺」  小泉 俊彦( 群馬県高崎市)

「 光跡」  荒井 千代子( 栃木県宇都宮市)

「 葦刈り」  中西 靖正( 栃木県佐野市)

「 独りの夏」  川上 美樹( 栃木県足利市)

 秀 作

 入 選

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