平成30年度第27回「栃木の自然と生活」が宇都宮市文化会館にて開催されました。指導講師として写真家・関東本部委員の中谷吉隆氏を招き行われました。中谷氏はフォトアサヒで連載のフォト俳句でも有名で、俳句と写真作品の共通性を教えていただきました。俳句には必ず季語が入らなければならないし写真は主役に対し脇役が入るそして作品のイメージをふくらます。とても楽しく冗句を交えての講評に会場が沸き返っていました。
宇都宮市民に夜祭として親しまれている二荒山神社の「おたりや祭」。12月15日と1月15日に開催されるが、その祭礼を賑わいとしてではなく、厳粛さに焦点を絞った撮り方、3枚の組み方が見事。
真岡鉄道沿線で捉えた春と秋の情景を組んだ2枚。菜の花、桜の時期を広角系レンズで空気感を狙い、コスモスの光景を望遠系レンズで切り取り、ともに電車を
効果的に使い栃木の春と秋を謳った。
変貌をする市街地。古くからの木造住宅と鉄筋の集合住宅が重なりあう光景。その変化した姿を深夜の時間帯に、赤信号を効果的に使い温もりとコンクリートの冷たさのコントラストで描きだした。
針仕事を続ける老婆の手にインパクトがある。大事に使いこまれた針箱、ご本人との3枚で組まれ、まさに「雀百まで踊りを忘れず」。これからも元気で続けてもらいたいという願いもあるようだ。
まことに奇妙な光景である。割合に小洒落た住宅裏の小山には何の目的かは不明だが、ソーラーパネルが敷き詰められている。この状況はそら恐ろしさをも感じさせるドキュメントとしてある。
なかなか手の込んだ狙い方、撮り方がされた3枚組。掘割の橋での子らの情景をストレートに捉えた一枚をキーピクチャーとして、左右にはショーウィンドーに映り込む鯉幟の情景を配している。
鉄路に沿ってある桜並木と広がる菜の花畑は日本の春を代表するロケーションである。その情景を青空を存分に活用して、菜の花を脇役としての構図で切り取っていて旅路に誘ってくれる。
古くから桜と地域住民との関係は切りはなせないものがある。そのひとつとして、小さな祠や石仏が祀られている。通りかかった旅人であろうが、歴史を感じつつ祈る姿をポイントに臨場感を高めた。
季節によって立ち込める霞、霧、モヤなどがある。それらは内陸部や川や海、湖沼という場所、朝夕の時間帯によって生み出す光景は違う。非常に情緒的な静かな朝のドラマを美しく捉えている。
日光東照宮での初雪を喜ぶ旅人か。石畳の雪が反射光を送っているようで、きっちりと笑顔がキャッチされている。降りしきる雪や背景の石段、後方に入れられている葵の紋章が画面を締めている。