「現代を撮る」をテーマに39回目を迎えた写真コンテスト「全日本写真展2011」(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、協賛:株式会社ニコンイメージングジャパン)の審査がこのほど朝日新聞東京本社で行われました。 今回の応募状況は、一般の部では、476名/2,855点、高校生の部では358名/938点、総計834名/3,793点の作品が集まりました。
【講評】
一般の部は愛情あふれる、和気あいあいとした幸せなひとときを捉えた作品が多かった。色彩に派手さはないが、内容に富んだ作品が上位に残った。東日本大震災は写真にもさまざまな意味を与えていた。暮らしをカメラで確かめていくことが重要視されている。出来事を理解した上で、独自の視点で切り取ることが大事だ。うまい、タイミングがよいというだけでなく、これまでにないような大胆で斬新な作品も積極的に応募してほしい。
孫の死を悼む祖母。これ以上近づけない、抑制された距離に悲嘆がにじむ。そこが、共感を呼び、悲しさをより深く伝えている。
「ファミリーの休日」 橋本 良夫(茨城県)
霧で家族が逆光線の中で象徴的に見える瞬間を捉えている。その瞬間にシャッターを押しても、ここまで明暗差を出すことは難しい。顔は見えないが家族の絆を感じる。
「地方巡業」 牛場 寿子(三重県)
三者三様の行動が面白い。踏み込んで撮影した力強さがある。力士の配置も遠近感があり、見事な構図になっている。お相撲さんは今年、話題になった。
「幻夜」 山下 廣子(和歌山県)
太陽の塔のずっしりとした感じと下に向かう目線、そして上に向かう風船が大胆な構図で表現されている。風船の動き、女性のシルエットが幻想的だ。今年は岡本太郎生誕100年の年。
「不安な日々」 寺澤 啓(岡山県)
東日本大震災のひとコマ。人間が写っていないだけにより物悲しく感じる。主人を待ちわびる犬(ぬいぐるみ)に先行きを案じさせるような印象が色濃く出ている。周辺が薄暗く克明でないので、悲しみが増幅され追体験させられる。