「現代を撮る」をテーマに43回目となった写真コンテスト「全日本写真展2015」(朝日新聞社、全日本写真連盟主催、株式会社ニコンイメージングジャパン協賛)の審査が朝日新聞社で行われた。
5,229点の応募作品から、入賞作品146点(一般の部102点、高校生の部44点)が選ばれた。
審査委員
1.松本 徳彦(写真家)
2.笹岡啓子 (写真家)
3.平間 至 (写真家)
4.百瀬俊哉 (写真家)
5.及川研一 (全国高等学校文化連盟写真専門部副部会長)
6.谷田川勝喜(全日本写真連盟関東本部委員長)
7.伊藤 滋 (全日本写真連盟中部本部委員長)
8.山之上玲子(朝日新聞東京本社写真部長)
9.佐々木広人(アサヒカメラ編集長)
総評・作品講評
現代を撮るのは難しい。「何が現代」か答えがあるわけでなく、人により受け取り方が異なるからだ。しかし、今がどういう世相をしているかは感じることができる。現実を直視してほしい。
全体的にレベルは高いのだが、オーソドックスな作品も多かった。今を切り取るのか、過去の入賞作品に似せた作品なのか。もう少し今日の世相を判断して切り取ってほしい。批評的、批判的ばかりでなく、現代を肯定した写真も見てみたい。時代の記録を徹底して撮ってほしい。
肖像権の問題もあり、街でのスナップが難しくなった。東日本大震災関連の作品も減ってきた。日常のはれの日だけでなく、何でもない現在を見つけてほしい。笑いや怒りみたいなもの、エモーショナルな刺激もほしい。デジタルの普及で、色が飽和した作品に飽きてきたのか、モノトーンチックな作品が目立った。
高校生の部については、昨年と比較すると、全体的に上手になっているが、もう少し若さがほしかった。ものを見る目に先入観があり、固定的な目線を感じる。大人を意識した目線が気になる。大人っぽい写真が多かった。代なのだから、もっと自由に表現し、自由奔放に撮って、大人はこうは撮れないという作品がほしかった。モノクロプリントは以前より良くなり、率直な写真が目についた。
「冬の朝」 佐藤 良治(秋田県)
駐車場の雪が解けアスファルトが露出している。昔からよく撮られる場面だが、白黒の対比が美しい。車を入れたらより良かった。銀賞「吹雪の中を」は、日常を切り取り、昭和的安心感がある。タイヤの軌跡の不安定さに厳しさを感じさせる。