2015年8月30日に行われた「平和公園を撮る」フォトコンテストの結果を発表します。審査は写真家の笹岡啓子さんをお招きしました。
原爆供養塔に向い、一心に祈りを捧げる方の思いが伝わる、非常に緊張感のある写真です。同じ場面をとらえ応募されていた方も数名いらっしゃいましたが、フレーミングと構成力、そしてプリントの仕上げに至るまで群を抜いていました。あえてモノクロを選択されたこと、さらにコントラストを上げ、周辺を落とした画面は、被写体の祈りの中心=画面の中心へと写真を見る側の集中を導く見事な写真だと思いました。
単に子どもの姿がかわいらしいだけでなく、思わず吹き出してしまうユーモアにあふれた写真です。実際には祈っているわけではないのでしょうが、ちょうど手をあわせたような姿勢を表情の見えない背中越しにとらえたことで、うまくタイトルに活かしています。雨もあがって煩わしくなったのか、長靴を片方だけ脱いで手に持ち、裸足になってしまったちぐはぐな格好が非常にチャーミングです。よく見ると背負ったリュックにも長靴(靴下?)のイラストが。
ビールをぐびっと飲みながら敵の手を待つ「余裕」のお相手に見えますが、右手はぎゅっと碁笥の中。じつは心中穏やかでなく、敵の一手にドキドキハラハラしているのではないでしょうか。祈りの場だけでなく、市民の憩いの場でもある平和公園の穏やかな一角を見い出しながら、的確なシャッターチャンスによって、勝利の行く末を頭脳戦・心理戦ともにうまくとらえています。西尾さんはほかの応募作もほっとするような柔らかな写真が多く、撮る方の人柄が現れているなと感じました。