鵜飼で全国的にも有名な、岐阜県が誇る清流「長良川」。その源流域から河口までの美しい自然と、川に関わる人々の暮らしを約40年間にわたって撮り続けてきた、後藤さんの写真人生において集大成と言ってもいい写真集。厳選された120枚近い作品は、どれも臨場感にあふれ、その場の音や声まで聞こえてきそうだ。幼少期から慣れ親しんだ長良川を慕う、後藤さんの「想い」が伝わってくる。
9月21日(木)~ 9月26日(火)には、岐阜市民会館で写真集発刊を記念した写真展が開かれる。
「あとがき」より
私は写真を始めた当時なぜか、子供の頃から水遊びに明け暮れた長良川を撮りたいとの思いに駆られました。カメラを初めて手にした時から川に通うようになったのが1977年でした。
それ以降、少しずつ変わりゆく川の自然とその流域に生きる人々を記録して後世に残さねば、との信念が年ごとに強くなり、今や40年目となりました。
撮影は、源流から河口までの160km余りの流域を、今日は上流、明日は下流方面と何百回となく行き来しました。
大げさかもしれませんが”長良川の今”を記録せねば、との責任感もあって、辛くもありましたが、楽しくもありました。雪の谷川へ滑落して命拾いしたこと。また、流域に生きる人々や生物などとの素晴らしい出会いがあり、まさに山あり谷ありの撮影行でした。
一番印象に残っているのは、サツキマスが自分の生まれた川へ上ってきて産卵する光景を撮るため、何年も何年も追い掛け、やっと見付けて、その瞬間を水中撮影できた時でした。あの感動は生涯忘れることはないでしょう。
今年は撮影40年目と米寿が重なり、ひとまずこの節目に写真集発刊と写真展を開催し、これをさらに奮起する糧として残る人生を長良川とともに進んでいく所存です。